日本的家族の肖像~映画「海街diary」を観た~

家族のなにもない、日常を二時間たっぷりと観せてくれる映画である。

4姉妹、全員美しいのでそれだけでも観ていられるのだが、全体を貫く清廉した空気感は小津安二郎の映画の系譜を感じる純然たる素晴らしい日本映画なのだと思う。

4姉妹ものと言えば、私はどうしても谷崎潤一郎の「細雪」を思い出してしまうのだが、場所も時代も階級も全く違うが、共通する日本独特の美しさみたいなものをどちらにも感じてしまう。

カンヌで高い評価を得たようだが、それは納得できる。この感じの映画は外国の監督が撮ろうと思っても難しいかもしれない。映画から漂う空気が日本的過ぎる。間の取り方、セリフの入り方が独特であり、かつ、4姉妹の役者全員がその世界のなかに完璧に溶け込んでいる。

こういう映画はたくさん観られた方がいいと思う。