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人生はくだらないが最高で、だから生き続けるのだ~映画「ビッグ・リボウスキ」を考える。

たくさん映画を観る。

たくさん観た中で、何が好きかと聞かれたら、ほとんどの確率で通じないので言うのをやめようかと思うのだが、好きなものに嘘をつきたくないという考えのもと、必ず答える映画が「ビッグ・リボウスキ」。

コーエン兄弟の映画で、今度の5月にやる新作もすごく楽しみにしている。

コーエン兄弟の映画はどれも大好きなのだがその中でも一番はビッグ・リボウスキ

なんで好きなのかを考えてみた。

まずはただ単純に徹底的にくだらない。

登場人物が全員イカれているのだが彼らが繰り出すどうしようもない会話が素晴らしい。ニヤニヤしながら観てしまう。

登場人物はほぼ全員モデルがいるらしく、その事実にも驚く。(その中でもウォルターのモデルは映画以上にヤバイ拳銃マニアで、スコセッシのタクシードライバーのモデルでもあるらしい。)。また、ロンググッドバイという映画の影響を色濃く受けているようで、すべてのシーンにデュードが出ているとは町山さんの解説を聞くまで気づかなかった。

そういうマニア向けっぽい仕掛けもおもしろい。

ただ、それだけではなく、映画のなかに通して観られる人間への視点、おそらくコーエン兄弟の人間に対しての哲学みたいなものが強烈に反映されていて、徹底的にくだらなくて最高ということもそうなのだが、俺が思う人間てこうだよねという姿がそこにあるように感じる。

人間の滑稽さとか愚かさがすごく誇張されてはいるが表現されていて、実際世の中はそんな人たちで回っていて、ヒーローなんて現実にはいないんだよっていうことをちゃんと言ってくれている、ある意味人間賛歌的な感じがすごく心に響くのだ。

人間てかっこよくなくても生きていくしかないし、いい話はそんなに簡単には手に入らないし、誰でも変なこだわりがあるし、それを全て肯定してそれでいいんだよと言っている気がする。

立川談志曰く、業の肯定。

忠臣蔵で、浅野内匠頭の部下で討ち入りした奴らじゃない奴ら、逃げちゃった奴らに光を当てるのが落語、ということを読んだことがある。

この映画には、その言葉の世界がある。

そして、世界はそういう人たちで動いていると思う。

ビッグ・リボウスキを見終わったあとになんだこれ?っと毎回思う。

でも、そもそも、なんだこれ?=予定調和ではない非連続性、が人の一生であって、現実が最善ではないことは多々有ることなので、なんだかよくわからない事になったとしてもそれを悲観するべきではなく、もちろん諦観するべきでもなく、ただ動き続けることが重要で、動いても得てして答えは出ないし、そもそも正解がないのだが、それでいいじゃないというすごく人生に対して楽観的な視点にビッグ・リボウスキはたってるんだと思う。

ビッグ・リボウスキを通じて表現されているコーエン兄弟の人間観、その全部がおれの人生哲学にはまるのだなと思う。


単純に会話のくだらなさ、マニア向けの作り、出てるキャラクターの異常さにはまる、ということもあるのだけど、人生をとらえる視点にはまるものが大きくあるという事がこの映画をベストの1つに数える理由なのだ。

ロンググッドバイも観なくては!